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グルメ

アルバータ州の農場直送の食材をおいしい冬の食事に変えるシェフたち

マイリ・ウッドホール

Travel Alberta

Sep 26, 2017 - - この記事の所要時間:7分

カルガリーに新たにオープンしたディーン・ハウスで食事をしてから2日が経ちました。まるで胸が高鳴る初デートのような経験で、あの日のことが今も頭から離れません。定番のフレンチ75にカナダらしいアレンジを効かせたカクテル「ディーン71」を初めて口にした瞬間から、すっかりその魅力のとりこになりました。そして料理が運ばれてくるたびに、ますます根菜が好きになりました。ここで「え、根菜?」と思っているあなた。わかります。私だって驚きました。でも、シェフのジェイミー・ハーリングが作り上げるメニューは地元産の旬の食材へのこだわりが特徴で、アルバータ州の冬のさなかともなると、ビーツ、カブ、ニンジン、サトウニンジン、ジャガイモ、キャベツといった冬の作物が使われるのです。本当のことを言うと、アップルウッドでグリルしたセルリアック(クレームフレーシュ、ヒラタケのスモーク、ブラックガーリックビネグレット添え)は、私がこれまでの人生で一番おいしいと思っていた食事と肩を並べるほどのおいしさでした。

ハーリングは、シェフのサル・ハウウェルの影響を受けています。ハウウェルは、私が食事をしたディーン・ハウスと、カルガリーのプリンス・アイランドにあり受賞歴を持つリバー・カフェのオーナーで、「どこまで地元の食材にこだわれるか?」を20年以上ずっと考え続けている人物です。

彼女をはじめ、一緒に働いている若く才能あるヘッドシェフたちのおかげで、その答えは情報通の美食家たちを喜ばせることでしょう。収穫の時期が終わり、アルバータ州に真冬が訪れても、ディーン・ハウスとリバー・カフェのキッチンでは、地元産の食材で冬に対抗しています。

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ジェイミー・ハーリングは、カルガリーでは知られた有名シェフであるサル・ハウウェルの地元の食の伝統に対する考え方に共感しています。それは、ハウウェルが自分のレストランであるリバー・カフェや、もっと最近では歴史あるディーン・ハウスを通じて地元の伝統料理をよみがえらせた先駆者であり、彼女が作る料理はどれもおいしいからです。

写真:クリス・アマット

貯蔵庫をいっぱいに

ファーム・トゥ・テーブル(産地から食卓へ)の料理を1年中提供するという壮大な目標を達成するには、豊かな想像力と努力の積み重ねが必要です。春の終わりから夏、秋が深まる頃にかけて、アルバータ州の畑が新鮮な農産物で溢れる時期が訪れると、ハーリングは嬉しくてたまらなくなります。しかし、冬の間も食事を楽しんでもらうには、収穫の最盛期にしっかり計画を立て、準備を万端にしておく必要があることをハーリングは知っています。

「私たちは、地元の食材を季節ごとの最高の状態で食べてもらいたいと考えています。そのためには、昔ながらの調理方法と準備方法を考え直す必要があり、私たちが農家、生産者、飼料業者と築いてきた関係が頼りになります」とハーリングは語ります。根菜類はディーン・ハウスにとって欠かすことのできない冬の食材であるため、ハーリングが取り引きをしている地元のサプライヤーは冬用の貯蔵庫を確保し、常に高品質の農産物を利用できるようにしてくれています。

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ディーン・ハウスのシェフたちは、アルバータ州の伝統である保存を活かし、1年を通して地元の習慣を守っています。そのおかげで、秋の収穫物をおいしいフルーツジャムや野菜のピクルスとして冬に楽しむことができるのです。

写真:クリス・アマット

昔ながらのピクルスとは別物

ハーリングのようなシェフたちは、ピクルス漬け、缶詰め、砂糖漬けを、アルバータ州の特筆すべきメニューとして復活させることにも貢献しています。由緒あるディーン・ハウスの周囲をぶらぶら歩いていると、去年の夏に収穫した梅、果物のジャム、野菜のピクルスの瓶が並ぶ棚があることに気づくでしょう。ハーリングのキッチンでは、食材を決して無駄にしません。そして、その恩恵を受けているのが私たち食事客なのです。地元のペニーバンズ・マッシュルームズからレストランに大量のアンズダケが届くと、まずは夏の料理に使い、残った分はピクルスにします。ニホンカボチャが余れば、ハーリングはパンに塗る発酵スプレッドをささっと作ってしまいます。このスプレッドは、ヘリテージ・ハーベストが栽培する小麦レッドファイフで作ったサワードウブレッドと相性抜群。しかも、やみつきになるおいしさです。

冬の間は、7Kランチの牧草で育てられた牛の肉、ボウデン・ファームズの鶏肉、ドライビュー・ファームズのラムやウサギの肉など、アルバータ州産の肉料理と一緒に、根菜のローストや発酵させた根菜を提供しています。ハーリングが好きな冬の料理は赤キャベツの塩漬けです。これは、たとえ鶏レバーのムースと一緒に出されたとしても、「一番大事なのは素材」であることを強く訴える一品です。お皿まで舐めてしまいたい気持ちをこらえ、貪るように食べたあとは、そのことに納得せざるを得ません。もちろん、ムースもものすごくおいしいのですが。

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以前はアルバータ州のレストランの冬のメニューが輸入食品に占領されていたこともありました。しかし、新世代のシェフたちは1年を通して地元の食材をおいしく食べる方法を見出しています。

写真:クリス・アマット

地域の変革

プリンス・アイランド公園にあるリバー・カフェでは、シェフのマティアス・フォンもアルバータ州産の根菜類を活用しています。じっくりローストしたセルリアックには、ペニーバンズのシイタケ、ヘリテージ・ハーベストのレッドファイフと自家製バーボンポルトビネガーが添えられ、ボリュームがあり、満足感を得られるメイン料理に仕上がっています。また、ベック・ファームズのニンジンを使ったウェリントン(パイ包みのオーブン焼き)は、自他ともに認める大の肉好きさえもうならせます。

リバー・カフェはその姉妹レストランと同じく「食材を貯蔵する」という哲学を持って運営されています。ここ何年かの間に、ほとんどのレストランのキッチンで、外国からの定番の輸入食材に代わって地元の食材が使われるようになりました。「このような変革を果たすには、食へのアプローチを大きく変える必要がありあります。手に入れられる農産物から始め、レシピを分解し、再度組み立てなおしてメニューを作ります」とフォンは言います。柑橘類や醤油のような主要な調味料を取り除くことと、賞に輝いたメニューの風味と品質を維持することを両立させるのは容易ではありません。スーマックの話を聴かせてほしいとフォンに頼んでみてください。

レストランが忙しくなる夏の間、フォンのチームは目の前の仕事をこなすと同時に、冬に向けた備えをしなくてはなりません。周囲の庭園からハーブを収穫して乾燥させ、手摘みの野生のニンニクを保存し、冬のスープ用にカリフラワーを湯通しして冷凍し、発芽したレッドファイフのソースを作ります。このソースは醤油の代用品で、作るのに2週間以上かかります。キッチンの魔法使いたちはこれらすべてを営業時間外にやってのけています。

リバー・カフェの成功には、地元の栽培業者や生産者が大きな役割を果たしています。フォンは今でも毎週末にカルガリー・ファーマーズ・マーケットを訪れ、サプライヤーと軽く言葉を交わし、レストランで使うための新鮮な農産物を車にいっぱい積んで帰ってきます。地域の食材の素晴らしさを広め、それを生産するパートナーへの感謝を伝えるために、リバー・カフェでは毎年、収穫パーティーを開催しています。このパーティーでは、ボウ川を見下ろすパティオでイノシシのローストがふるまわれます。極上の食事と絶景を一度に楽しめるなんて、私もお呼ばれしてみたいものです。



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地元の食材を活かしてこそ、ディーン・ハウスのリトル・オアシス・イン・ザ・デザート(写真)のような記憶に残るカクテルが生まれるのです。

写真:クリス・アマット

州都エドモントンでは

サプライヤーとの付き合いを大切にすることは、アルバータ州のシェフたちに共通のテーマです。エドモントンでは、ソルスティス・シーズナル・キュイジーヌがプレーリー・ガーデンズ&アドベンチャー・ファームと提携して農産物を仕入れています。シェフのジャン・トリッテンバックは、この農園の温室で採れる作物や貯蔵した根菜類をベースに冬のメニューを組み立て、地元のファーマーズマーケットで買い物をすることで不足分を補っています。レストランのシェフたちはピクルス漬けや砂糖漬けを活用し、新鮮なハーブやマイクログリーンは都会の栽培業者から仕入れています。

エドモントンのワークショップ・イータリーでは、シェフのポール・シュフェルフトが入手しうる最高品質の食材を使用しています。その中には、敷地内で栽培している果物や野菜も含まれます。ハーブやベリー類を乾燥させ、野菜をピクルス漬けにし、レリッシュ、ジャム、コンポートを作っているおかげで、シュフェルフトは同レストランでの食事にふさわしい料理を冬のメニューに取り入れることができます。貯蔵した根菜類に加えて、シュフェルフトのレシピでは、地元で栽培された穀物や豆類(大豆、レンズ豆、エンドウ豆など)がメニュー全体で幅広く使われています。

丘陵地帯では

アルバータ州南部では、ロングビュー・ステーキハウスが敷地内に菜園を持ち、自給自足に向けて取り組んでいます。オーナーのカリム・ベルモウフィドは、「自分が使う農作物を自分で育て、収穫し、保存し、地下室に貯蔵すれば、食料問題に自力で対応できます」とコメントしています。ベルモウフィドは長期的なビジョンを持っており、加えて、地域の牧場もサポートしています。毎年4Hオークションで雄牛を購入し、その後、地元の業者で食肉処理を施し、自分の店で熟成させるのです。彼のレストランはコンデ・ナスト・トラベラー誌や世界中の美食家から世界最高のステーキハウスの1つに選ばれています。しかもベルモウフィドによれば、これまでに自身が食べた最高のステーキも、お客に提供した最高のステーキも、近隣の牧場で飼育された4Hの雄牛のステーキだったそうです。

進取の気性に富む若いシェフの刺激的な理想からは、びっくりするような、それこそ芸術作品のような料理、そして味が生まれます。スキー、アイス・スケート、スノーシュー、そして今度は根菜です。アルバータ州に冬が訪れ、根菜の料理を食べるのが今から楽しみです。

自宅でできるサステナブルな食事 ‐ シェフからのアドバイス

  • 地元のファーマーズマーケットに足を運び、あなたが食べるものを育て、作っている人たちと顔見知りになりましょう。
  • 生鮮食料品の買い物は週1回。量は控えめにして、無駄をなくしましょう。毎日買い物に行くという手もあります。
  • 料理には創造力を働かせて。新しい食材にも挑戦しましょう。
  • レストランで食べた料理がおいしかったら、シェフにレシピを尋ねてみましょう。ほとんどの場合、シェフは喜んで教えてくれます。
  • オーブンでハーブをゆっくりと乾燥させる、新鮮な農作物を冷凍する、冷蔵庫のピクルスや冷凍庫のジャムのように簡単なレシピを実践するといった方法で、夏の収穫物を保存しましょう。
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カルガリーにあるディーン・ハウスでは、冬の間、ほぼすべてのメニューで保存食品を中心に据えています。本当にそうなのか疑問に思ったら、棚を見てみてください。

写真:クリス・アマット

レシピ:ジェイミー・ハーリング特製「ニンジンのかんたんピクルス」

  • 新鮮なニンジンをやさしくこすり、余分な泥があれば落とします。塩を加えた水が沸騰したら、やわらかくなるまで湯通しします(ニンジンのサイズによってだいたい3分ぐらい)。
  • ニンジンをお湯からあげて、加熱の進行を止めるために氷水に移し入れます。ピクルス液につけると、ニンジンがやわらかくなるので、完全に調理をしないこと。
  • 水3、リンゴ酢2、砂糖1の比率でピクルス液を作り、塩を1つまみ加えます。
  • ピクルス液を沸騰させ、ニンジンに直接かけてから室温で冷まします。冷ましてから冷蔵庫で保存します(最大1ヵ月)。

補足:ピクルス液の味付けは、お好みに合わせて簡単に変更できます。このレシピにコリアンダーシードやチリフレークを追加すると、さらにおいしくなります。
体験者